どうも。
金曜ロードショーで「千と千尋の神隠し」が放送されました。
この作品では、一人の少女が異世界に迷い込み、働くことや様々な出会いを通じて、強く逞しく成長する過程が描かれています。
これって、社会人でも似たようなことが言えると思いませんか?
社会を知らない学生が、4月1日をもって突然社会人になるわけです。異世界に迷い込んだも同然ですよね。
そこで本日は、「千と千尋の神隠し」の登場人物が新人「千尋」をどのように成長させたのかを考えることで、新人教育の在り方とノウハウについて理解してみましょう。
ハク様(直属の上司)の新人教育
「いや、千尋はよく頑張った」
物語冒頭、橋を渡る際に誤って息をもらしてしまい、人間であることがばれてしまった千尋への一言。
新人の失敗に対して叱責することなく、まずは失敗するまでの過程と努力を褒めています。ハク様の器の大きさと、新入社員の心理面の配慮が伺えますね。
新入社員の方々にとって、失敗はつきものです。また、失敗自体を恐れるようになることも、今後の成長や独り立ちを妨げる一因にもなり得ます。
失敗に対する安直な叱責はせず、まずは過程を褒めてあげましょう。結果よりもプロセスに焦点を当てた、「成長に繋げる失敗の仕方」を教えることが重要です。
「無駄口をきくな。私のことは、ハク様と呼べ」
湯婆婆との雇用契約後、千尋がハク様に対してフランクになり過ぎた際のセリフ。
ある程度、新入社員と仲良くなると、新入社員が気を緩めた態度を取ってしまうこともあります。業務への慣れや上司・先輩がいる安心感から、一時的に緊張が解けてしまうこともあるでしょう。
そんな時は、しっかりと叱ることも重要です。職場では社会人としての礼節を重んじ、オンとオフの切り分けを徹底させましょう。さらに上の上司(湯婆婆)がいる前では、尚更です。
特に、上述した「褒める教育」は、安心感や惰性、慢心なども生まれやすくなるので、緩急を使い分けて「絞める所は絞める指導」が必要になることも心がけておきましょう。
「辛かったろう。さぁ、お食べ」
ハク様に怒られた孤独感から寝付けないでいた千尋へのフォロー(おにぎり)。
千尋は安堵のあまり泣きながらおにぎり3個を軽く平らげ、「私、頑張るね」とやる気に満ちた表情で職場に戻ります。叱った後のフォローをすることで、千尋の孤独と不安を取り除き、更なる結束を生むことができました。
新入社員は知識や経験が足りないだけでなく、初めての業務と環境に戸惑い、常に大きなストレスを感じています。そのため、食事に誘ったり、1対1で会話ができる場を用意して、指導内容から新人のストレスを考慮したフォローをすることも非常に重要です。
新人教育に対する、双方の意見交換をする習慣と環境を作り上げましょう。ただし、フォローの強要はハラスメントと誤解される可能性があるので注意してください。
釜爺(職場の上司・先輩)の新人教育
「手ぇ出すならしまいまでやれ!」
石炭が重くて辛そうなススワタリを手伝おうとした千尋に行った一言。
新人だからと言って仕事を途中で投げ出してはいけません。たとえ専門外の仕事であっても、一度引き受けたならば最後までやりきる責任感を持たせることが重要です。たとえ善意で引き受けた仕事でも、当事者意識が無ければミスが生まれてしまいます。
また、仕事の進め方に疑問があるならば、教育係以外の人も含めた職場全体でフォローすることも重要です。「どこに石炭を運ぶのか」は他のススワタリでも理解できます。職場全体で教育する風土を作りましょう。
リン(直属の先輩、OJT指導員)の新人教育
「あんた。釜爺にお礼言ったの?世話になったんだろ?」
千尋を湯婆婆に紹介するよう釜爺から頼まれたときに、リンが千尋に言ったセリフ。
仕事をする上で「ありがとう」を言える大切さを伝えています。現代社会では「申し訳ありません」「失礼しました」ばかりが横行し、逆に「ありがとう」を気持ちよく素直に言える人が少なくなりました。
「ありがとう」の言葉は、職場や顧客との人間関係を良好にします。仕事を進める上で大きな武器になる人心掌握術を、OJTの最初の指導として伝えているのです。
「お前トロいから心配してたんだ。油断するなよ、分かんない事は俺に聞けな」
湯婆婆との雇用契約後、再びリンの元に千尋がOJT配属された際のセリフ。
若干、乱暴な口調ではありますが、先輩としての正直な気持ちと、今後の方針や注意点を明確に伝えています。「心配していた」「油断するな」「分からないことは俺に聞け」のように、明確に表現してもらえることで、新入社員の「分からないこと」への不安を取り除くことができます。
OJT配属が決定したら、早い段階で今後の方針や想いを話せる場を設け、互いに意見交換できる関係性を築きましょう。
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湯婆婆(直属の上司、役員)の新人教育
「千!よくやったね、大儲けだよ!皆も千を見習いな!今日は一本付けるからね」
千尋が川の主を接客し、浄化に成功した際のセリフ。
新人と言えど、成果を上げたのであれば相応の評価を与える必要があります。正当な評価をしてもらえることで、自信とモチベーションの向上にも繋がりますし、職場全体を活気付けることができるでしょう。
また、多くの社員の前で成果を褒めたことも、本人のモチベーションの向上だけでなく、職場風土の良化に繋げることができます。
「皆お退き!お客さまとて許せぬ!」
暴走したカオナシを鎮めようとして言い放ったセリフ。
話し合いに応じない強烈なクレーマーに対し、部下を守ろうと毅然として立ち向かいました。組織のリーダーたるもの、最後は「No」と言える勇気も必要です。
しかし、経験を積ませる理由もあるとは言え、新入社員一人にクレーム対応させたのはいかがなものでしょうか。
このような押し付けの新人教育を行ったことで、最終的に不満を持った部下(千尋、ハク)が退職してしまい、店を汚されて臨時休業を余儀なくされてしまいました。
銭婆(ライバル企業の役員?)の新人教育
「頑張って。そうそう、上手いじゃないか。本当に助かるよ。魔法で作ったんじゃ何にもならないからねぇ」
銭婆がカオナシに編み物を教えていた時のセリフ。
新入社員(この場合はカオナシ)に仕事を丁寧に教え、応援し、その成果を褒めています。銭婆はこのやり取りの中で「①教える②応援する③褒める」という、指導において最も基本的なコミュニケーションを実践しているのです。
また、その後で「魔法で作ったんじゃ何もならない」と、新人が作業をすることの価値を明確に伝えています。この一言があるだけで、新入社員の作業効率の悪さに対する劣等感を取り除けます。一つ一つの指導の意味を新入社員が理解できるので、より効率的なOJT指導を可能にすることができるわけです。
「大丈夫。あんたならやり遂げるよ」
別れ際、両親の呪いを解くための試練へと向かう千尋への応援。
何よりの魔法の言葉ですね。
重要な仕事を任されて、覚悟は決まっているけれども、どこか自信が無い。そんな時に信頼している上司から言われたら勇気が出ますよね。自分を信じて、落ち着くことができます。
もちろん、湯婆婆が発するような押し付けの言葉であれば、話は別ですけどね。千尋の話をしっかりと聞いていて、不安や悩みを理解していた銭婆の一言だからこそ、千尋は自信をもって、前に進むことができたのだと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
「千と千尋の神隠し」は1人の少女の成長譚です。登場人物の行動には、それぞれ千尋の成長に関わっていて、様々な新人教育ノウハウを得ることができます。
ぜひ皆さんも、この作品を参考に、部下や新人の教育方法について見直してみてはいかがでしょうか。
では、また。